人と動物の関係学

[2016年4月] アニマル・セラピー #06

国際団体によるアニマルセラピー白書

ガイドラインの策定

人と動物の関係に関する国際会議(IAAHAIO)では今年、「動物介在介入と動物介在活動の定義と活動動物の福祉に関するガイドライン」と題された白書を発表しました。
これは今まで誰もやってこなかったことでした。最近は「アニマル・セラピー」(正式には動物介在療法と動物介在活動)という言葉だけが独り歩きをしているようにも思えます。そのような状況の中で世界的なガイドラインができたことは非常にありがたいことなのです。さらに活動動物の福祉が取り上げられたことも極めて重要な点でしょう。

活動動物の福祉は

例えば、白書の中には「野生動物はたとえ人間に慣れた個体であっても活動にかかわらせてはならない」という文言があります。動物の住環境に損傷を与えることなく行われる観察などの活動は認められていますが、直接的なふれあいなどはやるべきではないということです。さらには「過剰な活動を強いるべきではない」、「活動時間には制限を設けるべきである」、「動物が快適な世話を受けられることを保証しなければならない」等々福祉に関する事柄が列挙されています。

活動動物とのかかわり

最近マスコミを含め様々なところで動物が登場します。「利用されています」、と言い換えるべきなのかも知れません。確かに彼らの多くは人間に癒しを与える存在ではありますが、彼等とのかかわり方に人間は倫理上のルールを設けなければならないのです。福祉施設、学校、病院等々で動物による活動が展開されている中、その効果を声高らかに歌い上げる人々はいても福祉はどうなっているのか、という疑問を投げかける者があまりいなかったのも事実でしょう。
白書の中には参加動物の選別に関する注意も書かれています。良いペットと思われている個体を含めすべての動物が活動に適しているとは限らないという指摘と共に、参加する動物は専門家によって慎重に評価されるべきであると書かれています。当たり前のことですが実はこれがあまりにも守られていないポイントの一つなのです。

活動に向いているのは「触られたがり屋さん」

活動に向いている個体は元来人間好きでなければなりません。いくらトレーニングをしっかりとされていても性格面で他人を受け入れることが苦手であればその動物は活動には向きません。十分な行動管理ができているということだけでは駄目であるということなのです。それは動物に多大なストレスをかけてしまうと同時に触れ合う人間側にも恩恵をもたらすような雰囲気を作り出してあげることができないからです。
また活動動物は様々な環境や状況を受け入れるだけではなく楽しめることが理想です。第三者が大勢いる場所に連れていかれるから仕方がなく行く、見知らぬ人間に触られる時には号令でおとなしくそれを受け入れる等々ではなく「行きたがり屋さん」、「触られたがり屋さん」であることがベストであるということなのです。これは人間、つまり飼い主にとっても同じことが言えます。自らの動物と活動をするときに施設や病院などにいる対象者の方々と話をするのが楽しい、いろいろな人と接することがうれしいと思える人間でなければ動物とのボランティアはできません。

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