人と動物の関係学

[2015年1月] 動物と社会 #26

狂犬病について


「予防接種の必要性について」


最近、我が国においては、小型犬の室内飼育が増えています。中には、まったく外に出ることのない生活をしている犬もいるほどです。このような生活が犬にとってどうなのであろうかと考えることもありますが、ここではそれが良いか悪いかを論じるつもりはありません。

それよりも大切なのは外に出ることがないので、予防接種は必要ないと考えている飼い主さんが増えているという点です。ここには大きな問題があるのです。ご存知の通り我が国には狂犬病予防法という法律があります。そのもとでは、犬の飼育者はかならず畜犬登録をし、毎年狂犬病の予防接種を犬に受けさせなければならないのです。この法的義務を怠っている飼い主さんが、少なからずいると言うことは大変なことなのです。

「犬から人への感染率」

日本は狂犬病清浄国であり、すでに国内には、この病気は存在しないと言うことは事実ですが、世界を見渡すと状況は決して明るくありません。今でも毎年5,6万人がこの感染症で命を落としているのです。この世界情勢の中で、いつ日本にまた狂犬病がやってくるかわからないということも言えるのです。
狂犬病はウサギや牛等を含め、人間の身近にいる各種の哺乳類にも感染します。ではなぜ接種は犬だけに義務付けられているのでしょう?

それは今までの人間の感染例99パーセントが、犬からの感染だからなのです。犬の間で感染が広がらないようにしておくことが、人間社会を狂犬病の脅威から救う最も有効な手段なのです。

「予防接種が有効かつ人道的な予防手段」

しかし、この手段の有効性を保つためには、地域内での犬の接種率が大きな意味を持つのです。地域で飼育されている犬たちの接種率が70パーセントを下回ってしまうと感染に対する防御率も低下します。それゆえに犬の飼い主は、社会を守るための接種義務を怠ってはならないのです。世界の汚染地域の中には、接種という手段よりも先に犬を排除するという強硬策が取られてしまったと言う事例も多々あります。

つまり狂犬病の蔓延を防ぐために、手当たり次第犬を殺してしまうという何とも残酷なことも起こっているのです。このような状況に対して世界保健機関(WHO)も狂犬病に対しては、犬の接種がもっとも有効かつ人道的な予防手段であると宣言をしています。

日本は安全であるという神話に惑わされず、狂犬病の予防接種を愛犬に受けさせると言う飼い主義務をもう少し社会に広めていかなければなりません。

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