人と動物の関係学

[2015年9月] 動物と社会 #29

殺処分0のためにできること

殺処分、その内訳をご存知ですか?

最近動物問題で話題になっているキーワードが「殺処分0」です。遺棄された動物たちをどのようにして助けていくかが今の人間社会の課題である、と多くの動物愛護家たちが声を上げています。著名人の中にはNPOを作り「保護犬」を自ら引き取っている方もいるようです。当然このような活動は世間にも注目され、今や「保護犬」はブランド化しているようにも思えます。

しかし捨てられ、処分をされてしまう動物たちの本当の内訳がどのようなものであるかあまり深く考えていない人が多いようです。現在十数万頭の犬・猫が毎年全国で殺処分されているのですが、猫の数は犬を大幅に上回り、十万頭に近いのです。そしてその大半は子猫です。
つまり本当に手っ取り早く殺処分を減らしたいのであれば、まず子猫が生まれないようにすることが最も効果的な手段なのです。そのためには何をしなければならないかを考える必要があり、それと同時にこれらの策をどのようにして実施していくかも検討しなければなりません。

殺処分される子猫を減らすために‐避妊去勢手術

まず第一に考えなければならないのは不妊去勢手術の徹底です。しかしそのためには色々な周辺整備が必要でしょう。外猫にそのようなお金はかけられないという無責任な飼い主をどのように説得するか、都市から離れた農村地帯などでも室内飼いを進めることはできるのか、無秩序な餌やりをどのようにして食い止めていくか等々、課題は無数にあるのです。
最近、野良猫に餌を与えることを違法とする条例を作る自治体が出てきました。これに対して猛烈に反対をしている人たちもいます。ルールを定めそれに従う人々には登録により許可を与えることができるのであればそれは決して猫を切り捨てることにはならないのではないでしょうか?

食餌を提供するということにはそれに付随した義務も生じるはずです。周辺の衛生管理、対象猫の健康管理と不妊去勢等々は当たり前のことです。全国にはボランティアグループなどで資金集めをしながら実施している方々はすでに大勢おられます。メディアはもう少しこのような活動を取りあげ、そうではないものとの差別化を社会ができるような情報提供をしてほしいと思うのです。

殺処分される子猫を減らすために‐子猫保育のボランティア

また、愛護センターに持ち込まれる子猫たちは飼育を続けようと思えば非常に手がかかります。まだ自力で生きていくことができない子猫たちには24時間体制で「子育て」を人間がしてやらなければなりませんが、現在の職員体制ではそれは不可能に等しいのです。
そこで米国の愛護団体がすでに行っているような在宅ボランティアを活用し始めた自治体もあるのです。人工授乳が必要な子猫たちを譲渡用の展示に出すことができるまで自宅で預かり、子育てをしてもらうことができればより多くの子猫を助けることができるのです。このように人の手で育てられた子猫は人間に扱われることに慣れているため、譲り受ける人にとっても非常に飼いやすいでしょう。
このような体制も増やしていく必要があります。

いずれにしても猫対策をもっとまじめに、真剣に考えるとことが必要とされていることは紛れもない事実です。
猫のためにもう少し人間は頑張っていくべきなのではないでしょうか。

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