人と動物の関係学

[2016年5月] 動物と社会 #30

スモールペット人気と情報不足

スモールペット人気

最近我が国でも米国などでもスモールペット、小動物、の人気が高まっているようです。2014年の米国ペット用品工業会の調査によると米国内の小動物飼育家庭は何と690万戸、小動物の頭数にして1800万匹です。その中で最も人気が高いのはウサギであり1880万匹の37パーセント強を占めています。
このような状況下で考えさせられるのはウサギを含む小動物、そしてそれに加え鳥類、などに関する情報やサービスの不足です。

スモールペットの情報不足とは?

とても単純な事例を挙げてみます。ウサギは本来多飲・多尿な動物です。脱水状態になると尿が濃くなってしまい排尿困難を起こしやすいのです。スラッジと言ってどろどろのおしっこをするようになってしまいます。そのため沢山水を飲めるようにしてあげなければならないのです。
一般的なペットショップでは小動物用にはケージに着けられる給水ボトルが売られていますがお皿に入れて水を与えるほうが飲量が多くなるといわれています。実験動物の世界で飼育されてきた「伝統」があるウサギやモルモットなどの小動物はそのままの飼い方が推奨されてきてしまったのでしょう。彼らは実に上手にボウルなどから水を飲みます、しかもおいしそうに。犬や猫と何ら変わりはないのです。
またペレット状のフードを与えていれば十分と指導されてしまう飼い主さんもいますが、これもまた実験動物の世界では「簡単、効率的」として実施されてきたやり方です。干し草と乾いたペレットのみ与えているとどうしても水分が不足してしまいます。その場合脱水のみならず排便に問題が生じてしまうのです。そしてウサギは便秘をすると大変なことが起こります。うっ滞というのですが、腸管の動きが鈍くなり排泄が止まったウサギは瞬く間に死んでしまうのです。新鮮な野菜を与えることがとても重要です。
しかし問題が起きてからでは遅いのです。猫と同じようにウサギは幼少期に慣れてしまった食習慣をなかなか変えてはくれません。最近の相談の中にはどうやったら野菜を食べてくれるか教えてほしいというものもあります。幼いころからペレットしか与えていなければ当然成長してからいきなり野菜を出されても拒否してしまう個体もいるということなのです。


ペットと暮らす時間


ウサギだけではありません。人気のあるキボウシなどオウム類はとっても長生きです。50年、場合によっては80年生きる個体がいるのです。飼うときに飼い主は本当にその責任を自覚して飼うのでしょうか?またオウム・インコ類は仲間と同調するための社会性を非常に強く持って生まれてきます。彼らにとっては野生の中で仲間が危険を知らせている、集まれと言っている、移動すると言っている等々のことを常に察知する能力が生きていくためには必要なのです。そしてその同調する対象を人間にも向けることができるために犬や猫よりも強い絆、執着、を飼い主に対して持ってしまうのです。引き離されたり遺棄されたりした時の彼らの状態はまさに人間でいえばPTSDなのです。単におしゃべりができる面白い鳥としてしか見られていない彼ら、その繊細さを分かってあげられる人間は果たしてどのくらいいるのでしょう?

ペットについて色々考えると少々落ち込んでしまう今日この頃です。

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