「アニマル・セラピー」の本来の意味
原始の血の説によると、動物は人間の精神、ひいては健康に大きな影響を与えることができる存在です。それがあるからこそ、いわゆる「アニマル・セラピー」というものが成り立つのです。しかしこの言葉は誤った社会の認識が独り歩きをしているおかげで、とても誤解をされてしまっているようです。
アニマル・セラピーとは不完全な表現であり、正式にはアニマル・アシステッド・セラピー(動物介在療法)という言葉が、世界的にも使用されています。この動物介在療法とは、人間の療法、すなわち医療の一部に動物を参加させ、活用することなのです。より正確に言えば、人間の治療・ケアに関わる専門家が、動物という「道具」を用いて自分の作業を実行する、ということなのです。
医療従事者が行う「アニマル・セラピー」
ここでのキーワードは「人間の治療の専門家」です。つまり動物介在療法は、動物を連れたボランティアが実施するものではなく、彼らの手を借りて医療職にある人が実施しなければならないのです。よって、アニマル・セラピストなどという専門職は、言うまでもなく存在しません。「アニマルを使う人間のセラピスト(療法士)」がいるのです。
例えば、リハビリテーション医療における腕の機能回復のために、運動のひとつとして犬とボール投げをすることもできるのですが、その際の実施方法、回数等々を決め、かつ、実施中の患者の監督・指導をするのは理学療法士や作業療法士であり、犬とその飼主であるボランティアは、あくまでもこれらの専門家の言う通りに動かなくてはなりません。もちろんその際、犬を動かすにあたっては、犬にとっての作業の可能・不可能等、具体的なインプットをボランティアに求めなければならないことは言うまでもありません。
アニマル・セラピーと略されている言葉は、本当は上記のような医療行為のことを指すアニマル・アシステッド・セラピー=動物介在療法、のことなのです。
もう一つのアニマル・セラピー「動物介在活動」
もう一つ、アニマル・セラピーという言葉で語られているものがあります。それは、レクリエーションとして医療や福祉施設などに提供されている訪問活動です。こちらは医療行為のように特定の治療目標を設定して実施するものではないため、「セラピー」とは呼びません。正確にはアニマル・アシステッド・アクティビティ=動物介在活動、と呼ばれています。
人々の生活に潤いをもたらし、その質の向上を図るためのレクリエーションの一環として、ボランティア達が動物を連れて施設などを訪問し、触れ合いやエンタテインメントを提供します。これらは医療行為ではないので、施設スタッフと相談をしながらボランティアが内容などを決定することができるのです。小学校のコーラスが老人施設を慰問するのと同じように、動物を連れたボランティア達がやってくる、と考えれば良いのです。
「セラピー(療法)」と言える行為と言えない行為の違い
例えばボールなどの遊具が療法士に活用されれば、それは人間の治療の道具になり、かつ、健康保険の適用も受けることができる行為の一端を担うものになります。しかし、それを単純に遊びの道具として用いればレクリエーションの道具となり、狭い意味では医療とは無関係の存在になる訳です。動物も全く同じであり、動物が参加しているもの全てが「セラピー(療法)」であるとは限りません。
まずこのあたりの区別をはっきりとつけなければ、アニマル・セラピーと言う言葉を理解することはできないでしょう。




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