人と動物の関係学

[2011年8月] アニマル・セラピー #02

人と動物の接点とアニマル・セラピー

アニマル・セラピーに参加する動物たちの適性について

このサイトのメイン・テーマとなっている、人と動物の接点をもう一度読んで考えて頂きたいのがアニマル・セラピーに参加する動物たちの適性です。
今やわが国でも本当に沢山のボランティアの方々が、愛犬や愛猫等と共に様々な施設を訪問しています。当然、多くの患者さんがその恩恵を受けているはずなのですが、どの様な動物が連れて行かれるかによって色々な問題が生じるのです。

リスク管理とは「行動管理」と「健康管理」

訪問をする動物の適性はどの様なものでしょう? まず一番大切なのはリスク管理です。言うまでもなく病院や施設等には、病気の為に運動機能が低下している、免疫能が低下している、加齢や障害のために皮膚、骨等々が弱くなっている・・・等の脆弱な方々がおられるのです。このような集団の中に動物を連れていくのですから言うまでもなく細心の注意が必要なのです。
そこで、まず第一に行動管理が挙げられます。これは犬であれば飛びついたり、興奮して騒いだり、咬んだりしない様にしつけられているということ。猫であれば引っ掻いたり、過剰にじゃれたり、抱かれるときに爪を立てたりしないということでしょう。
言い換えれば、飼い主がしつけや訓練、また社会化をきちんとしているかどうかがポイントになります。
しかしリスク管理とはこれだけではありません。動物が感染症や汚染の原因にならないように健康管理が万全でなければなりません。どの病棟に行くかによっては、腸内細菌や口腔内細菌のチェックが必要になる場合もあるでしょう。
危険な行動をしない保証と病原体を持ち込まない保証が要求されるのです。

「癒し」を与えることができるのは、リラックスしている動物だけ

ではこの様なチェックをした動物であればどこに連れて行ってもよいのでしょうか?実はもう一つ重要な要素があります。それこそがこのサイトのメイン・テーマ「人と動物の接点」の文章の中に登場する原始の血の説に関連した事柄なのです。
訪問活動をする動物は受け手に「癒し」を与えなければなりません。それができるのは原始の血の説によればリラックスしている動物だけなのです。つまり、いくら競技会に出ることができる程しっかりと訓練された犬でも他人が沢山いるところが本質的に嫌いであり、人間に触られることが苦手であれば癒しを届けることはできないのです。これは性格的なものであり残念なことに訓練・躾等で解決できるものではありません。
人間にも同じことが言えるでしょう。人と話す事が苦手である者は対人関係が常時要求される職場を選ばないでしょう。営業よりも専門職、一人で黙々と作業ができる現場に向いている人もいる半面、人前に出ることが生きがいという者もいるのです。吉本の舞台に出て沢山の人に見てもらいたいという者もいるのです。人間でもこの違いを理解せず前者と後者の仕事を入れ替えることを強要したらストレスで胃潰瘍になる人が出てくるでしょう。
動物も同じです。自分の家族に囲まれて十分幸せであり、他人にまで可愛いと言ってもらわなくてもよい、むしろそうされることが「ウザイ」と感じる犬や猫もいます。しかし全く逆に家族にも可愛いと言って欲しい、でもそれだけでなく道行く人全てに可愛いと声をかけて欲しいと思っている社交家もいるのです。前者に無理矢理触れ合いを強要するのは虐待です。そして後者は社交の場を与えられないと逆にストレスを感じてしまうでしょう。適材適所とはよく言ったものです。

訪問活動は人間がやりたいからやるものではありません。まずは動物自身がそれを楽しめるかどうかを考えてください。そうでなければ訪問相手に逆にストレスを届けてしまうかもしれませんよ。

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