人と動物の関係学

[2012年10月] 子供と動物 #02

エキゾチック・ペットへの警告

サルモネラ感染

最近、米国ワシントンポスト紙に掲載された記事に子供とペットの亀に関するものがありました。最近になって米国内で何件かのサルモネラ感染症の事例が発覚しましたが、総勢200名ほどの被害者が出たようです。そしてその原因は何とペットの亀です。かなり以前から小さな亀、つまり子亀が子供たちにはペットとして米国では大人気でした。しかし、このような小さな亀は子供にとってはゼンマイ仕掛けのおもちゃのような存在と同一視され、子供たちがそれに頬ずりをしたり、顔に近づけたり、素手で持ち歩いたりしてしまったのです。その結果としてサルモネラ感染症の問題が多く見受けられたのです。
そしてついに1975年に米国のFDA(食品医薬品局)は甲羅が4インチ(約10センチ)以下の亀の販売を禁止したのです。この法的措置の結果としてペットの亀によるサルモネラ感染症の発症例は激減したそうです。しかし、残念なことに最近になって再びこの問題が浮上してきたようです。
 米国CDC(疾病対策予防センター)によると2006年から今日までの間に 亀を原因としたサルモネラ感染の発生が計11件あり、それによって被害を受けた人間の数は何と535人、そして昨年は50州のうち30州において被害報告があったそうです。

亀とサルモネラ菌

亀の排泄物の中にはサルモネラが含まれておりそれが亀の体や甲羅などに付着しています。それゆえに素手で亀を扱ったりした場合には必ず入念な手洗いが必要です。それに加え室内を自由に歩かせている場合にはその亀が歩き回った場所に置いてある様々なものにサルモネラ菌が付いてしまう危険もあります。また、水槽の洗浄や水の入れ替え作業なども台所やお風呂場など人間が使う場所で行うことも危険でしょう。
米国ではこのようなペットを原因としたサルモネラ感染の特集をタイム誌が何年も前に取り上げています。やはり子供たちにとってポピュラーなペットであるゆえに周囲が正しい情報を持つことの大切さを感じてのことでしょう。言うまでもなく、ここで言わんとしていることは「亀は汚い」ということではありません。彼等にとってはサルモネラ菌は問題を起こさずに付き合っていくことができる菌なのです。自然界では亀に子供がキスをしたり同じ絨毯の上を這いつくばったりすることはないでしょう。
一線を置いて互いの生活を続ければ何の問題もないのです。どのような生物にも彼等にとって何が有害で何が無害であるかの特徴があるわけであり、皆同じということではありません。人間は自分が身近に置く生物に関しては十分な情報を得ておく必要があるのです。むしろそれ以上に人間はどのような生物を身近におくことができるかをもう少し考えなければならないのではないでしょうか。

我が家のミドリガメ

私の家にも事情があって引き取ったミドリガメがいます。飼えなくなった方々が「自然に戻そう」とされたところを引き取りました。彼等の戻る自然は日本にはないことをご存じない方も大勢おられるようです。彼の水槽はベランダで洗浄します。室内には絶対に離しません。いくら大きな水槽を購入したとしても彼にとってはやはり小さいと感じるでしょう(現在の水槽は長さが約1メートルです)。本当に申し訳ないといつも思っています。故郷ではない国で飼われてしまった彼も被害者、それをどうしてやることもできず自分の不甲斐なさを嘆く日々を送っています。

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