人と動物の関係学

[2007年9月] 動物実験 #00

動物実験

目をそむけないで考える、「実験動物」のこと

 動物好きの人間にとって、実験に使用される動物は、あまり考えたくない存在であるかもしれません。しかし動物と生活をともにし、互いに信頼し合いながらすばらしい日常を送ることができるという幸せをかみしめているからこそ,「他の動物達」のことを考えなければならないのではないでしょうか。むしろ動物のことを愛しているからこそ「嫌な事」から目をそむけないようにしなければなりません。

今すぐ動物実験をやめることは可能なのか?

しかし動物実験となると、どのような考え方をして良いものか、と迷う人がたくさんいるようです。その中で気をつけなければならないのは、動物好きの人間が陥りやすい「絶対反対」と言う落し穴です。グロテスクな写真や残酷な現実を様々な活動家団体に見せられ「やめるべきだ!」という極端な意見を口にしてしまう動物好きの人々はたくさんいます。

でもそこで冷静になり、少し考えてみてはどうでしょう。はたして、全てやめるべき、と言っても良いのでしょうか? いえ、言えるのでしょうか? 確かにこれ以上便利な世の中をつくる必要はないのかもしれません。さらに言えば化粧品や日常生活用品の「高度化」は、不必要なぜいたくかもしれません。しかし、もし自分の身内に難病の者がいたらどうでしょう。治療手段の開発のために動物を使わないでほしい、自分の愛する者のためにうさぎが死ぬのは耐えられない、と心の底から言える人は本当にいるのでしょうか。

どう考えても、動物実験を100パーセントなくすことは、今はまだできないことなのではないでしょうか。とは言え、やはり少しでも今の現場を改善してほしいと思っている人々はたくさんいます。そして無論、関係者はそのための努力を怠ってはならないのです。

「3つのR」の原則を知る

そこでまず、第一歩として、改正動物愛護管理法の中にも登場する「3つのR」の原則を、専門家のみならず世の動物好きの人々にも知識として持ってもらうことが重要であると思われます。何故ならば、この3Rをしっかりと理解し、且つそれを求める運動を展開させることこそが実現可能な動物実験現場の改善につながってゆくからです。

3つのRの一つはReplacementです。これは、生体の使用に代替法がある場合はそちらを用いるべきである、という考え方です。言うまでもなく、生きた動物を使う以外に、その細胞の一部や人工物、化学物質、CGなどを用いることができることも多々あるでしょう。そしてさらなる開発努力により、生体以外のものを用いて実施可能なプロセスの範囲は広がってゆくことでしょう。いずれにしても「代替法を可能な限り活用する」というこの原則は、極めて意味のあることなのです。

次のRはReduction、数の減少です。実験そのものをやめるよりも、使用されている動物の数を減らすことは、すぐにでもできることだと考えられています。無駄のないように、実験施設の動物数の管理をより厳しく行ったり、基礎的なデータなどを研究所や企業間でシェアリングしたりすることによって、実験に使用されている動物の絶対数を確実に減らすことができるはずです。これだけでも数多くの命を助けることができるでしょう。

そして3つ目のRはRefinementです。これは実験の方法、やり方そのものを改善し、動物が実験中に苦痛にさらされることがないようにしようという原則です。どうしても続けざるを得ない実験があるのであれば、少なくともその際に、動物がとんでもない目に合うことがないようにしてゆかなければなりません。そのためにもRefinement、すなわち手法、技術の高度化を進めてゆかなければならないのです。

動物の犠牲を少しでもなくすためにできること。

この3Rの原則は、動物のことを考え、科学者自身が自らの目標として掲げているものですが、一般の人々の活動ベースにもなり得るものなのです。やみくもに「嫌!」「やめろ!」と発するよりも、何をどうすれば今すぐにでも事態を改善してゆけるかを考えた発言ができれば、動物好きの人々が無知な感情論を連発する集団だと見られることもなく、研究者達の注目を引くことができるようになるのです。

ペットを愛するあまり「全ての動物を救え!」と唱えている方々も、好きな動物に関する暗の部分は見ないでおこうと思っておられる方々も、本当に動物のためになる自分は、一体どこで何を言う自分なのか、今一度考えてみてはいかがでしょう。

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