人と動物の関係学

[2011年10月] 動物実験 #01

動物実験の将来

動物実験についての国際的ギャップ

2009年3月11日、欧州連合(EU)で改正化粧品指令が施行されました。これは化粧品の製造にあたって原料の評価も含め動物実験を原則的に禁止するものです。
しかし日本では、まだ一部の商品の安全評価に動物実験が課せられており、この分野における国際的ギャップが存在するようです。欧州連合では既に20年以上も前から動物を使わずに評価、検証などが行える手段としての代替法の研究が活発に行われています。
1986年には代替法を推奨するための「動物実験指令」も制定されています。動物の細胞を培養して作る皮膚組織や、人間の皮膚を培養して作る人工皮膚組織等が今や化粧品業界では幅広く活用されているのです。そうすることによって実験に使われる動物の数を減らしていくことが可能になっていきます。
しかし代替法と言ってもそう簡単に開発・使用ができるわけではありません。どこで誰が活用しても確実に同じ結果を得ることができるかどうかを何重にも試験をしてていかなければならないのです。
EUでは様々な代替実験法の有効性を評価する公的機関があり、多くの資金やその他の資源が投じられている為有効であるとの評価を実施する作業が進んでいます。米国でもその推進の為、大きな組織が国家によって運営されています。

今後、日本でも検証作業が進むと期待されています

一つの代替実験法の有効性を検証するには何年もの月日がかかるといわれています。それゆえに動物実験の実態の改善の一端を代替法に担ってもらう為には検証する専門機関が頑張らなければならないのです。
日本でも2005年に代替法検証センターが国立医薬品食品衛生研究所の中に設けられましたが、当時は専従の専門家が一名しかおらず、欧米との差は一目瞭然でした。しかし、この試みが実り今春新たに同研究所内に正式な組織として「日本動物実験代替法評価センター」が設置されました。
より正式な組織として認められたこのセンターを中心として、今後は日本でも活発に検証作業が進むことが期待されています。

動物実験に新たな時代到来?昆虫を用いた実験

さて、話は変わりますが最近代替法ということができるかどうかは分かりませんが、昆虫を用いた実験方法が注目を浴びています。
生物学者によると哺乳類と昆虫両方に存在する幾つかの主要な細胞が感染等に対し、類似した反応をし、同じような化学反応がその内部で見受けられるそうです。この発見を利用することができれば、新たなる薬品の安全性試験の初期段階に大きな変化をもたらすことができるそうです。
初期段階でマウスを用いていたものに昆虫の幼虫等を使えば最速で48時間で結果をみることができるそうです。マウスの場合には4-6週間かかるものを短時間で初期試験をこなせるということは経費的にも大きなメリットがあります。
同時にマウスと比べて昆虫の方が飼育管理に、お金や人手もかかりません。この研究を行っている研究者に協力をした英国のある製薬会社では700の新しい薬品成分の初期試験を昆虫で行いました。この第一段階のスクリーニングで使用できないものを早々に落とすことができ、最終的には35の成分のみを次の哺乳類(マウス)を使う実験段階まで進めたそうです。もし最初からマウスのみを使っていたら何と14,000匹も犠牲にしなければならなかったということです。
昆虫のおかげで経費の削減ができたのみならず使用するマウスの数も80パーセント減らすことができました。
昆虫の命が犠牲になったのは確かでありこれはいったい代替法と言ってよいのかどうかは定かではありませんが、動物実験に新たなる時代が到来していることは確かのようです。

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