人と動物の関係学

[2010年12月] 動物と社会 #06

飼い主が求める犬の性質

人が犬に求めているものは

近頃、街中で色々な種類の犬を見かけます。飼い主たちはどのような基準で彼らを選択しているのでしょうか? 体格、性格、外見、と選択の基準は様々ですが、日頃私たちはあまりそれらについて真剣に考えることはありません。特に私などは、様々な所からある日突然うちにやってきた、というような子たちとばかり暮らしているので、あまり「選ぶ」ということを考えたことはありません。しかし同時に流行を追うように特定の犬種を求める人たちがいることも事実なのです。この様な人たちは、一体犬に何を求めているのか少し探ってみたくなりました。

飼い主の性別で、求める性質が分かれる?

オーストラリアのある大学で「理想的なコンパニオン・ドッグとは」という研究調査を行っていることを知り、その論文を検索してみました。
全文を見つけることが出来なかったのですが、要約を読むことができたので、その内容をここで少し紹介したいと思います。これはあくまでもオーストラリアの調査結果であり国や文化圏によってその内容が異なるであろうことは言うまでもありません。まず研究者は、現代の社会において犬たちに求められている「役割」は主に人間の伴侶であると明言しています。これは特にオーストラリアにおいては畜産の現場などで活躍している犬たちがまだ多数いることから、その様な犬たちとは一線を引いた調査を実施しているということを強調したかったのでしょう。
オーストラリア人が好む犬の条件は以下のようにまとめられています。 中型で、短毛であり子供にとって安全な犬。また排泄のしつけがされており、避妊・去勢手術済であること。さらに友好的で攻撃性がなく、落ち着きがあり、社交性があり健康で扱いやすい・・・まさに誰にとっても理想の犬でしょう。
しかし調査結果が面白くなるのはここからなのです。飼い主の性別によって好みが変わってくるのです。オーストラリアでは女性の好む犬の性格的特徴は落ち着いていること、社交性があり健康でかつ攻撃性がないことでした。しかし男性はエネルギッシュで忠実、そして自分を守ってくれる犬を求めているのです。女性は、一緒にリラックスした生活が送れる伴侶を求め、男性は元気一杯の「番犬」、「忠犬」を求めているのです。

人は犬に何を求めているのか?

さらに驚くことに、犬を飼ったことがない人の好みも後者が多いことが判明したのですが、これは少し困ったことなのです。番犬や忠犬は、どちらかと言えば飼い主以外の人間にはあまり社交性を発揮しない犬なのです。それゆえに他人に対して、多少攻撃的な面を見せてしまう可能性があるのです。それは人間社会で生きていく上で、やや問題となることもあるでしょう。時々「うちの犬は全然番犬にならない役立たずです。よその人が来ても、ちっとも吠えないのです。」と嘆かれている方が時々いますが、本当はとても良い伴侶に恵まれているということなのです。飼い主は気付いていないのかも知れませんが、無駄吠えや縄張り意識の問題を抱えることなく、おっとりとした穏やかな犬と生活を共にすることができるという幸運に恵まれているのです。
このオーストラリアの調査の内容を見て改めて人が求める犬とは何なのかを考えさせられました。犬が社会にどの様に認められるのか、そのカギを握っているのはやはり人間なのではないかと感じました。

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