人と動物の関係学

[2012年8月] 動物と社会 #16

日本の補助犬

身体障害者補助犬法成立10周年

今年2012年は、我が国の法律である身体障害者補助犬法(現在は身体障がいと書くべきところですが法律の成立時の名称を使っています)成立10周年記念の年です。10年前まではこのような法律はなく日本国内では盲導犬、介助犬、聴導犬などを伴った障がい者は多くの施設で門前払いという腹立たしい扱いを受けていました。一般の皆様はご存じないかもしれませんが、この法律ができるまでは我が国での活動の歴史が半世紀以上もある盲導犬でさえ法律で社会参加が保証されていたわけではないのです。娯楽施設、宿泊施設、教育施設、医療施設、公共交通機関等々で「犬」を連れているためにいやな思いをさせられた障がい者は決して少なくありません。
補助犬はペットではありません。もちろん愛玩犬と同じように人間の家族の一員として大切にされているところは同じなのですが彼等はそれに加え障がいをサポートするという重要な役目があります。例えば私たちは視力が弱ければ眼鏡をかけます。これは体の機能をサポートする道具なのです。もしコーヒーを飲みたいと思い喫茶店に入ろうとした時に「眼鏡をはずしてください」と言われたらどうでしょう? あるいは車椅子を外において入ってくださいと言われたらどうでしょう?実は補助犬を連れて社会参加をされている多くの障がい者の方々はこのような思いをされているのです。確かに犬を道具に例えるのはよくないかもしれませんが障がい補助という意味においては犬を置いてこいと言われることは眼鏡や車椅子を置いてこいと言われることに等しいことであると言わざるを得ません。

法律が制定されても

そしてようやく10年前に補助犬のアクセス権を認める法律が制定されました。公的施設、公共交通機関、民間の経営でも不特定多数の人間が使用可能な施設等々では補助犬を連れた障がい者の入場を断ってはいけないことになりました。この受け入れ義務が法的に定められたことによって前述したような問題がやっと解消すると関係者は喜んではいたのですがや、はりそう簡単にはいきませんでした。
一番の問題はこの法律自体があまり周知徹底されていないことでしょう。この10年を振り返ってみると国会で同法が可決されてからも入場拒否は沢山ありました。旅館やホテルなどでの宿泊拒否の話等も相変わらず耳に入ってきます。さらにもう一つ問題になり始めているのはあからさまな受け入れ拒否ではない「巧みな断り方」です。「当ホテルの部屋はせまいので犬の寝る場所がないかも。」、「店の床が油などで汚れているので食事中に犬を待機させるのはどうか。」ここも例をあげればきりがありません。入店拒否は法的に許されずとも何とか理由をつけて犬が来ないようにしてしまおうということなのでしょう。

補助犬に関心を

しかし、犬と共に活動中の障がい者の方々はこのような社会状況の中でも今日も元気に社会参加を堂々と続けています。つい先日オープンしたスカイツリーのテープカットにも盲導犬、介助犬、聴導犬3頭がパートナーの方々と参加しました。4月末には若者でにぎわう渋谷の街を盲導犬や訓練犬24頭が大勢の関係者と共に行進し受け入れ拒否ゼロを目指そうと訴えました。このようにして徐々に法律の存在に関する認識を高めていく活動も増えています。今年の10月最後の週末には兵庫県宝塚市において身体障害者補助犬学会主催の市民シンポジュームが開催される予定です。ぜひ皆様も補助犬に関心を持って下さい!

このページのトップへ