人と動物の関係学

[2012年9月] 動物と社会 #17

動物愛護法の改正が成立

動物の愛護と管理に関する法律の改正

既にご存じの方も沢山おられると思いますが、見直しの作業が進められていた動物の愛護と管理に関する法律の改正が無事に成立しました。その中でもマスコミでいろいろと話題になっていた子犬・子猫の販売月齢が、今回ははっきりと法律の中で明記されるようになります。
前回の法改正の際に多くの動物愛護団体等が幼齢動物の販売を規制して欲しいとかなり沢山の意見を出しましたが、それが取り入れられませんでした。しかし、今回は今まで多くの団体が主張してきた「8週齢までは店頭で販売するべきではない」という意見に則りはっきりと56日まで販売をしてはならないということが明記されたのです。

生後56日以上へ向けて

それまで業界側、即ち売る側は45日を主張してきました。56日には科学的根拠がないというのが業界の主張です。そして、これに対して動物愛護団体等は母親や同胎児からあまり早く離してしまうと後に行動問題なども起こし易く、それに加え今の流通制度では、幼齢動物の免疫機能が不安定な時期に個体を動かしている等々と反論してきました。どちらにもそれぞれの言い分があり、なかなか落とし所が見つからないまま法改正の作業が進められてきたのです。
今回は与野党の議員等が話し合った結果、やはり今までの運動で主張されてきた56日を入れようということになりました。しかし、言うまでもなく改正法が成立しても直ぐに次の日から56日に至らない動物を販売してはならないということになるわけではありません。
今回の改正は特にこの点に関して現在まで販売を実施してきた人々にはとって大幅に事業形態の変更を求めるものであり、直ぐにそれを強制することはできません。そこで移行措置として業界が主張してきた45日を施行から3年間は認め、その後それを49日に引き上げ、最終的には5年以内に56日を達成するという方法がとられることになったのです。愛護法自体5年ごとに見直しが実施されるので次回の改正の時期にようやく目標に到達するということになるのでしょう。
これをとても「歯がゆい」と感じる人々もいると思います。英語には「Better late than never=遅れるほうが一生到達しないよりはまし」、という格言があり

ます。今回はまさにそれではないでしょうか。

消費者教育の必要性

小さな子犬子猫を売る側に聞くと小さいものを消費者がどうしても求める傾向が強い、大きくなると売れなくなるという事情を耳にします。無論そこであまり幼齢の個体を売ることには問題があることを売る側が説明すればよいのでは、と思われる方もいるでしょう。
これは勿論その通りなのですが、競争の原理からすれば「うちでは小さいのがいますよ」という販売者が一人でもいれば結局多くの消費者がそこに集まってしまい、その他の事業主が苦しい思いをするということになるのです。業界全体で足並みをそろえることはとても難しいと思われます。本当は法律で規制することと同時に消費者教育をしなければならないのです。この規制が何故できたのかを犬や猫を求める人々が知らなければ法律を改正した意味がありません。「小さい方が可愛い、良くなつく」等々の求める側の誤った認識を変えていくきっかけにして欲しいと思います。

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