人と動物の関係学

[2013年11月] 動物と社会 #20

希少動物を守れ

希少動物等を守るための「種の保存法」が改正

 今年の春からワシントン条約などで取引が規制されている希少動物等を守るための「種の保存法」が改正されました。環境省は違法な捕獲や売買行為に対する罰金を最高1億円にまで引き上げたのです。
この法律のもとで今現在日本においては、国内の希少動物90種が守られています。また上記のワシントン条約のもとで、国際的な商取引が原則禁止とされている動物698種がこの法律に含まれています。
日本は国土からすれば小国なのですが何と野性動物の売買に関する市場規模が世界第3位だそうです。つまり野性動物を売ったり買ったりする人々がいかに沢山の「商売」を展開しているかということなのです。ご存知の方もおられるかもしれませんが、少し前にスローロリスという小さなサルを大量に販売し多額の利益を得ていた者が摘発されると言う事件もありました。また何年か前の話ですが、東京の中心部のあるマンションで毒蛇を50匹も飼っていた男性が摘発されたという事件も起こっています。希少動物を守るということは法律上必ずやらなければならないことなのですが、同時にあまりにも野放し状態になっている「珍ペット」の一般飼育にも何らかの歯止めが必要なのです。その意味において今回の法改正は、実にありがたいことであると考えねばならないでしょう。

希少種動物の取引に関する罰則

 今まで、法で禁じられている希少種の取引に関与した場合の罰則は、個人の場合1年以下の懲役または100万円以下の罰金、法人の場合は100万円以下の罰金でした。罰則がそれほど厳しくないために希少種の売買で「荒稼ぎ」をしている者たちにとっては、法律自体の抑止力があまりにも弱すぎたのです。
今回の法改正で罰則が強化され、個人は5年以下の懲役または500万円以下の罰金、そして法人は1億円以下の罰金になり事態が改善されていくであろうと期待感は高まっています。同時に希少種を売るための広告などを出すことも禁止されました。確かに今までは、インターネットなどで「怪しい」広告が沢山出されていました。またマニア向けの出版物などにも「本当に大丈夫?」と疑うような「商品」の宣伝が記載されていました。
改正法のもとではこれも禁止され罰則の対象になります。違反した場合には個人は1年以下の懲役または100万円以下の罰金、そして法人は2,000万円以下の罰金と言うことになるのです。この法改正によってどれだけ野性動物を求める人々の欲求が抑制されるかはまだ分かりませんが、自然保護団体等はまだまだ規制が甘すぎると言っています。
日本のみならず希少動物・野生動物の一般飼育は多くの国々に置いて社会問題化しています。米国フロリダのエバーグレーズ国立公園では、この十数年の間にビルマニシキヘビが多くの土着の生物を食い荒らしてきたことが問題視されています。飼ってみたが逃げられた、手に負えなくなり捨てた等々の愚かな人間の行動の結果として様々な地域の生物多様性が危機的状況に陥れられてしまうのです。

希少動物由来商品の取引について

 生きた動物だけではなく、象牙のような希少動物由来の商品の取引も規制の対象とされていますが、まだまだ対応は不十分です。日本においては、象牙の違法取引への関与率は世界的にみればあまり高いとは言えません。特に中国などと比べれば「優等生」であるといってもよいでしょう。しかし、絶滅危惧品種と言われているアフリカの森林のゾウ由来の硬質な象牙の消費者としては、日本は決して優等生ではありません。残念なことに邦楽に必要な三味線のバチ等の需要が高い日本では、硬質の象牙の消費量がとても高いのです。
   しかし、実際にこれらの商品を製作している職人の世界でこのような認識はとても低いことに驚かされます。
ある調査の内容をみると、日本の職人さんの中にはゾウを殺さずに象牙だけ「抜く」ことができると思っている方々が多く存在することが明らかにされていました。やはり法律を強化していくことは大切ですが、社会の教育も同じくらい大切なのであると感じざるを得ません。
環境省は2020年までに法で守る対象としては、国内種を390種までに増やす計画であると発表しています。このような道程を歩んでいくことは正しいことなのですが、何故それが必要なのか、市民は何をすればよいかをもう少しお役所もメディアも大々的に取り上げてほしいと思う今日この頃です。

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