人と動物の関係学

[2014年6月] 動物と社会 #24

保護犬ブーム

「保護活動」に踊らされていませんか?

最近、保護犬を飼ってくださいと言う「ラブコール」がとても増えているように思えます。また保護犬、レスキューされた犬を引き取っていることが、何やら社会的にとても高く評価され始めているようです。それ自体は、悪いことではありません。現実問題として、新しい飼い主を求めている動物は沢山いる訳であり、多数の人間がそこに助けの手を差し伸べていることは喜ばしいことです。しかし、「保護活動」と言う言葉に踊らされないように、気をつけなければならないのでは?と、最近思うようになりました。

子育てもそうですが、「世界の幸せはまず自分の周りから」という原則を忘れてしまうのであれば、これは本末転倒としか言えないのではないでしょうか。例えば、沢山の保護犬を預かると言うことは、とても大変なことです。場合によっては、それらの犬たちはクレートに入れられている時間、繋がれている時間が、家庭で飼育されている犬よりも、長くなってしまっているかもしれません。また、人間と触れ合うことができる時間、特に自分のことだけを見てもらっていると、彼らが実感できる時間がとても少なくなってしまうかもしれません。それは仕方のないことなのでしょうか?確かに、本当の意味でのシェルター運営がなされているところにおいては、「郡管理」と言う専門的なシステムが設置されており、仕方がない中にも数々の工夫が施されています。

「人間家族は自分の群れ」

しかし、素人的な考えで複数の動物を管理することは、時には、彼等のためにならない場合もあるでしょう。私自身は「レスキューをやっています」とは決して言いませんが、今まで、お金を出して犬や猫を買ったことは一度もありません。保護動物と言う意識を持ったこともあまりありません。縁あってうちに来た子と考えていました。直接路上で拾った子も、愛護センターから来た子も、愛護団体から来た子も、そしてブリーダーから放棄された子等も、それぞれ皆わけでありでうちにやってきました。

私が育った家では多い時に5,6頭の犬が室内を闊歩していました。ここでのキーワードは「室内」です。コンパニオン・アニマルは家族と一緒に室内にいるべきです。彼らにとって人間家族は、自分の「群れ」であり、そこから疎外されることは大変な苦痛です。また複数飼育していても散歩は必ず一頭一頭連れ出してあげることも大切です。今は多い時には、自宅で3頭の犬が飼育可能ですが早朝に仕事で家を出なければならない時も、一頭ずつ「町内一周」をします。それは、複数飼っているとなかなか「ママを独り占め」することができない犬たちに対するせめてもの計らいであると思っているのです。一人で連れ出してもらうと、何とも言えぬ表情をしながらルンルン気分で彼等は歩いていくのです。

「保護犬の幸せ」

むろんお互い仲が悪いわけではありませんし、家では庭などでは一緒に走り回っています。でも、子供と同じで大勢の兄弟がいると親を独り占めできる時間はうれしいと彼等は思うのでしょう。

言うまでもなく、シェルターと言う環境の中では、飼い主ではなく、家族ではなく、ボランティアの方々がお散歩や運動などをやってくださるのですが、欧米などのしっかりと運営されているシェルターでは、犬は必ず一日2回、散歩に連れ出せるようボランティアを配置しています。ボランティアが足りないから仕方がない。

保護犬を幸せにしてあげることは、とても大事なことです。一人でも多くの人が、それに気付いてくださることを願っています。しかし、保護を考える前に自分の身近な「家族」のことを考えてください。彼等を幸せにしてあげていますか?保護をした子にも同じ幸せを与えてあげられますか?メディア等では芸能人の方々が、「保護犬」サポーターとして多く登場されている今日この頃ですが、ある番組で取り上げられている「被災犬とタレント」の生活は、彼女の自宅ではないそうです。
とある場所に置かれた犬にスケジュールが空いているときにのみ「お世話」をしているタレントさんの映像が流されていると聞いた時には、保護っていったい何だろうと、思わず考え込んでしまいました。

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