人と動物の関係学

[2015年3月] 動物と社会 #27

損害賠償について

「心不全を起こしたチワワの事件」

先月の新聞記事にシェパード犬に、体当たりをされて心不全をおこしたチワワの話が載っていました。これは堺市で起きた事件でしたが、飼い主とお散歩中のチワワに突然ジャーマンシェパードが突進してきたというものでした。
このシェパードに体当たりされてしまったチワワは、心不全を起こし亡くなってしまいました。体重差を考えれば当然のことであるともいえるでしょう。事件自体は昨年起こったものでした。堺簡易裁判所に、チワワの飼い主が50万円強の慰謝料を求めて訴訟を起こしていましたが、判決は一審では20万円の損害賠償が認められただけであり、被害者及び加害者双方がこれを不服として控訴していたようです。
結果として今回大阪地方裁判所は、チワワの飼い主に対して慰謝料として18万円、そしてさらに葬儀費用として2万3700円の支払いをシェアパードの飼い主に命じたのです。一審判決よりは若干高い金額になったと言う訳です。

「飼い主の管理について」

しかし、今回の地裁の判決文には幾つか大切な点が記載されています。一つは死んだ犬が15歳であり、長きにわたり家族の一員であったことを考慮して慰謝料が認められたと言うこと。そしてもう一つは、繋がれているシェパード何故か放れてしまい、チワワに突進していった経緯に関して、これは飼い主の管理が不十分であった為とされています。
つまり、飼い主の管理責任が問われたのです。この二つは実はとても重要なことです。まずはいくら所有物、私的財産と法律上は定められていたとしても、実のところ飼い犬はそれ以上の意味を持つものであることを裁判所が認めたことになるのでしょう。

「苦しみと痛みに対する賠償」

例えば、冷蔵庫が壊されてしまったら損害賠償になるところを、愛犬の場合家族の気持ちを察する「慰謝料」の支払いが命じられたと言うことは大きな進歩なのです。最近、動物関連の裁判では、しばしばこの慰謝料が登場するようであり、これは日本の司法関係者の考え方が、少しずつ変化してきた兆しと捉える事ができるでしょう。慰謝料を英語にすると「damages for pain and suffering」になります。これを逆に翻訳すると「苦るしみと痛みに対する賠償」となるわけであり明らかに「物」に対する考え方とは異なるのです。
もう一つ今回の判決でしっかりと捉えておかなければならない事柄は飼い主責任です。確かに今までも犬が事故を起こした場合には、飼い主が責任を負わなければならないことはしばしばありました。これは当然のことでしょう。

「飼い主の責任」

今回の事件は大型犬が小型犬に衝突をし、殺してしまったという少々「人目を引く」内容であったために新聞で取り上げられたのでしょうが、掲載された文章の中に。飼い主の管理が不十分であったと判断された、という文言が入っていたことは非常に大きな社会に対するメッセージとなっています。今でも、公園や河川敷等で犬を放して遊ばせている飼い主が沢山います。
彼等は、まさか自分の可愛い愛犬が事故を起こすなどとは考えてもいません。しかし、たとえ意図的な攻撃行動をとる犬でなくとも、体格や体力の差や遊び方の違いなどで相手を傷つけてしまうことがあると言うことを、飼い主たちは真剣に考えるべきなのです。今回の事件もそうですが、「動物達が何かやってしまった、」ということがあれば、それは全て飼い主の責任なのですから。

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