
前回、ワンちゃんも高齢になるとしぐさの上でいろいろな変化が見られるということをお話ししましたが、それは具体的に体の機能がどのように変化してきているのでしょうか。その変化にはどのように対処すればいいのでしょうか。
歳をとるとお散歩の距離が短くなるのは、体がだんだん硬くなってきちゃうからなのかな?それとも、おなかがすぐにすいちゃうからなのかな? 老化って体はどうなっていくことなんだろう? 獣医師の先生に聞いてみよう。
老化は基本的な部分では動物でも人とほとんど同じです。歳をとるにつれて病気に対する抵抗力が落ちてウイルスや細菌に感染しやすくなったり、傷ついた体を元に戻すのに時間がかかったり、外からの刺激に瞬時に対応しにくくなってくるのです。さらに視力や聴力といった感覚器官が衰えてきたり、心臓や腎臓など毎日使っている内臓も少しずつその働きが弱まってきます。
動物も歳をとると今まで色のついていた毛が白髪になり、特に顔周りの毛などから白い毛が目立つようになってきます。また、毛自体のコシもなくなって立ち上がりが悪くなったり、毛の量が全体的に少なくなって地肌がうっすらと見えるようになることもあります。
皮膚も皮脂の分泌量が減ってカサカサした状態になってきますが、皮脂は外部からの異物に対するバリアの役割をしているため、皮膚病になりやすくなります。刺激を受けやすくなるため、皮膚炎ができたり、いぼ(良性の腫瘍)が体のあちこちに見られるようになることもあります。黒い鼻だったワンちゃんは色素が抜けてピンク色になってきたり、反対にピンク色の皮膚の子にはしみ(色素沈着)が見られるようになることもあります。
高齢犬の皮膚はなるべく乾燥させないように保湿剤を用い、痒みから皮膚を掻き壊してしまうなど悪化させてしまう前に動物病院で診てもらうことが大切です。
歳をとると関節の間で潤滑液の働きをしている関節液が減少し、軟骨が擦り減ってくるため関節の骨同士が直接こすれあうようになります。動く度に刺激を受けることによって関節は炎症をおこしたり、徐々に変形してきます。変形が進行すると、関節の動く範囲が狭くなったり、動かすと痛みが生じたりするため、ワンちゃんはあまり動きたがらなくなってきます。じっとしている時間が長くなると、筋肉は徐々に衰え、ますます動きたがらなくなります。
これらの変化はサプリメントなどで関節の成分を補うことで、その進行を遅らせることが期待できます。
歳をとると「老齢性白内障」と呼ばれる目の病気になることがあります。これは目のレンズの部分が白く濁ってくることによって視力が低下する病気です。最近は白濁を取り除く手術をおこなう動物病院もありますが、白濁が進行すると手術もできなくなる場合があるため、日頃から目の中をよく覗いてみるようにしましょう。
また、動物でも人と同じように歳をとると少しずつ耳が遠くなってきます。声を掛けても気が付かなかったり、後ろから近づくとビックリしてしまうこともあるため、高齢のワンちゃんにはなるべく見える位置から近づき、声を掛けながら体にそっと触るようにしましょう。
ワンちゃんの場合、高齢になるにつれて心臓に弁膜症を発症し、血液の循環がうまくいかなくなることがあります。ちょっとした運動でハアハアと荒い呼吸となったり、咳がでる場合は動物病院で一度診てもらうとよいでしょう。
また、消化管も機能が低下してきますから、少量でもきちんとカロリーを摂取することのできる消化の良い高齢犬用のフードを与える必要があります。
動物にも脳に障害が生じることによって人の認知症に似た症状が見られることがあります。具体的には一日中ぐるぐると徘徊したり、ご飯を食べつづけたり、夜鳴きをするような行動です。ボーっとしているかと思うと急に神経質になったり、頑固になったりする子もいます。ペットが認知症になる前から、サプリメントなどで、脳の機能をサポートすることも大切ですが、普段から小さな変化も見逃さないように愛情をもって接してあげることが最も大切です。
飼育環境や食事管理が向上したことから、ペットの高齢化は進んでいます。ペットはみんな人よりも早く歳をとってしまうため、私たちはペットがまだ元気なうちから高齢対策を講じておかなければなりません。
歳をとると体のいろいろな部分が変化してくるのは人もペットも同じなんだ。でもそれって仕方のないことだよね。食事やサプリメントでちょっとでも長く元気でいることがぼくたちが飼い主さんにできる親孝行だよね。