
ワンちゃんも歳をとってくると、人と同じように食が細くなったり、硬いものが食べられなくなってきます。また、必要な栄養素の割合が変化してくるために成犬用のフードを高齢犬用に変える必要が出てきます。さらに高齢になると発症しやすくなる病気を予防するために、サプリメントなどで補給したほうがよい栄養成分もあります。高齢犬用の食事管理にはどのようなことに注意をすればいいのでしょうか。
裏の家に住んでいるおじいちゃん犬、以前は僕と同じフードを食べていたんだけど、健康のために今は「高齢犬用」って書いてあるフードに変えているんだって。僕、今食べているごはんが大好きなんだけど、やっぱり歳をとったら変えないといけないのかな?「高齢犬用」って書いてあるフードは何が違うのかな?
獣医師の先生に聞いてみよう。
ゼノくんは今からもう高齢犬用のフードの心配をしているのかい?でも、ゼノくんがフードを変えるのは実はこれが初めてではないんだよ。すごく小さかった頃を思い出してごらん。ゼノくんは生まれてすぐはお母さんのおっぱいを飲んでいたけど、そのあと歯が生えてきたら柔らかい離乳食に、そのあと体が十分大きくなるまでは栄養たっぷりの「子犬用」というフードを食べていたはずなんだ。このように、年齢に応じて食べるものを変えていくことは必要なことだし、健康のためにはとても大切なことなんだよ。
ワンちゃんが歳をとってくると体のいろいろな機能が変化してくることについては前回お話をしたけれど、覚えているかい?体全体の動きが鈍くなったり、腸や心臓、腎臓といった内臓の機能が徐々に衰えてきたり、歯石がついたり毛並みが悪くなったりするんだったね。高齢になってきたらこれらの変化に対応してフードの内容や食べ方を変えていく必要があるんだ。
例えば、歳をとると運動量が減ることから太りやすくなることがあるけれども、同時に関節や筋肉が衰えてくるから今まで以上に体重を増やしたくはない。だから、肥満防止として高齢犬用フードは今までよりも全体のカロリーを控えめにする必要があるんだ。しかしカロリーは減らしても体を維持するのに必要なタンパク質や、毛ヅヤや皮膚の健康のために必要な脂肪酸などはきちんと摂取できるような内容にしなければいけない。だから、各栄養素の比率を今までとは変えていかないといけないんだ。
また、歳をとると消化力も落ちてくるので、今まで以上に高品質で消化の良いものを原料としたり、細菌や感染症に対する免疫力を強化するために抗酸化作用のあるビタミンEを強化したり、といった配慮をしていくことも高齢犬用のフードには大切なことだよ。
おじいちゃん犬が摂っているサプリメントはおそらく関節に良いとされているグルコサミンやコンドロイチンを含んだサプリメントだろうね。歳をとってくると関節の表面を覆っている軟骨が擦り減ってくるから、軟骨の成分をフードのほかにもサプリメントでさらに補うのはとてもよいことだね。ほかにも、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの脂肪酸も細胞の健康を維持するために大切な栄養成分だから、これもサプリメントで補ったほうがよいといえるだろうね。
歳をとるとどうしても食が細くなったり、歯が悪くなったりして若い頃のようにぱくぱくとたくさんの量を短時間で食べることができなくなってしまう場合があるよね。そんな時には一回の量を少なくして一日の食事の回数を増やしたり、フードの粒を小さくして食べやすくしてみたり、硬いフードをお湯でふやかしたりする工夫をするといいかもしれないね。フードにお湯をかけるとフードが温まって美味しい匂いが強まるから食欲を増すことにもなるしね。あと、楽な姿勢で食べることができるように食器を台の上に乗せるようにしたり、落ち着いて食べることのできる静かな環境をつくってあげることも高齢犬用の食事には大切なことだよ。
おじいちゃんになったら食事の種類や食べ方を変えないといけない理由がよく分かったよ。それに、高齢犬用のフードで必要な栄養分が変わるといっても、今までと同じチキン味もあるみたいだし、おうちのひとも食べ方に気をつけてくれるみたいだから、相変わらず美味しく食べられそうだね。もう僕、フードのことで悩んだりしないよ。