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動物の病気:知ることから始めよう! 〜分かりやすい病気の話〜

乳腺腫瘍について

ペットの高齢化につれて、ペットにも腫瘍ができてしまう例が増えてきました。その中でも特に乳腺腫瘍(乳癌)はどこの動物病院でも比較的症例数の多い腫瘍です。乳腺腫瘍は人でもよく知られた病気で、しかも体の表面に発生するため飼い主さんが発見しやすいということもその理由かもしれません。

ゼノくん、アックちゃんの素朴な疑問

ゼノくん、アックちゃん

僕のおばあちゃんはずーっとまえにおっぱいの癌になったことがあるんだけど、見つけてすぐ小さいうちに手術して取っちゃったら今はもうすっかり治っちゃったんだって。癌でも治ることってあるんだね。飼い主さんはおっぱいの癌があるってどうして気がついたのかな?おっぱいの癌はアックちゃんたちネコちゃんでもなることがあるのかな?
獣医師の先生に聞いてみよう。


私が答えます!Dr.ペテラス ペテラス・ワールドの獣医師。ホームドクターとしてあらゆる疑問を即解決!

【乳腺腫瘍はおうちのひとでも見つけることができます】

乳腺腫瘍は毎日ペットとスキンシップをしている飼い主さんであれば、比較的簡単に見つけることができる腫瘍のひとつです。
乳腺腫瘍を見つける前にまず、正常なおっぱいをよく確認しておきましょう。ペットの乳首は胸の前の方から後ろ足の根付け近くにかけて存在します。通常左右に4から5個ずつ、計8から10個存在します。中には左右がきれいに並んでいなかったり7個や9個といった奇数個しかない場合もあります。これらの乳首周辺の皮膚の下にお乳を作り出す乳腺組織が網目のように広がっており、この乳腺が腫瘍化したものが乳腺腫瘍です。通常、皮膚の下の硬くて丸いしこりとして気がつきます。

【良性の乳腺腫瘍、悪性の乳腺腫瘍】

前回、ペットの腫瘍についての時にもお話をしましたが、腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍があり、それは乳腺腫瘍の場合でも同じです。正確な良性と悪性の判断はその部位の細胞を取り出して顕微鏡で細胞の様子を観察してみないと分かりませんが、良性の乳腺腫瘍は成長の仕方が比較的ゆっくりで、時間が経ってもあまり大きさに変化がないことがほとんどです。
それに対して悪性の乳腺腫瘍の多くは大きくなる速度が速く、形もいびつで触ってみると腹壁や胸壁など下の組織にくっついていることがあります。悪性の腫瘍はリンパや血流に乗って他の組織にも転移をするのが特徴であるため、悪性の乳腺腫瘍も肺などに転移することがあります。肺に転移してしまった乳腺腫瘍は通常腫瘍細胞が肺全体に蒔き散らかしたようになるため、こうなるともう切除することはできなくなってしまいます。
乳腺腫瘍の中でもっとも悪性度が高いものに「炎症性乳癌」というものがあります。これは強い炎症を伴う乳癌で、はっきりとしたしこりはあまり感じませんが、炎症のために乳腺周囲の皮膚が真っ赤にはれ上がったり、後ろ足がむくんでぱんぱんになっていることがあります。外科手術で治すことは難しく、死亡率もとても高い癌です。

【乳腺腫瘍の治療】

ペットの乳腺腫瘍の治療の多くは外科的に取り除くのが基本です。良性の場合、完全に切除することができれば、再発することもなく完治させることができます。ところが、ペットの乳腺は乳首に対して一つ一つが独立しているわけではなく縦に長くつながっているため、乳腺組織内に広がっていると思われる腫瘍細胞を完全に取り除くためには、しこりのある乳腺を片側一列全て取り除く必要のある場合があります。また転移が疑われる場合には腹壁や胸壁の一部、腋窩リンパ節や鼠径リンパ節も一緒に取り除くこともあります。ですから、この手術を行うとわきの下から後ろ足の股までの非常に大きな縫い跡となる場合があることを覚悟しなくてはいけません。ただし、傷が大きくなりすぎてリスクが高いと判断したり、良性で転移は少ないと思われる場合には上2つ(3つ)と下2つに分けて切除したり、しこりだけを切除することもあります。
腫瘍が非常に大きくなってしまい外科的に完全に取り除くことができないときや、炎症性乳癌の場合には、抗癌剤を使用したり、放射線療法を行うこともありますが、完全に治る例は非常にまれです。

【ネコちゃんの乳腺腫瘍】

ワンちゃんもネコちゃんも乳腺腫瘍の発生率は同じように高いといわれています。しかしワンちゃんが良性腫瘍と悪性腫瘍の割合が半々であるのに対して、ネコちゃんの乳腺腫瘍はほとんどが悪性であることが知られています。ですから、ネコちゃんの乳腺腫瘍は命に直結する病気であると言えます。

【乳腺腫瘍の予防】

乳腺腫瘍は女性ホルモンと関係のある腫瘍です。ですから、乳腺腫瘍になるペットのほとんどは避妊手術をしていない女の子です。乳腺腫瘍の予防として避妊手術をするという考え方もあり、初めての発情を迎える前に避妊手術(卵巣摘出手術)を行うと、発情を数回過ごした後で避妊手術をした子と比べて数十倍も年を取ってからの乳腺腫瘍の発生を抑えることができるようです。

【おうちでできること】

もし完治させることのできない悪性腫瘍がペットに見つかってしまったら、ペットのQOL(クオリティーオブライフ:生活の質)を第一に考えましょう。ペットがなるべく痛みを感じることなく、毎日を過ごしやすくするためにはどうしたらいいのかをおうちの人全員と獣医師がよく話し合うことが大切です。おうちの人はペットが穏やかな気持ちで過ごすことのできる環境作りと、体力を維持するために必要な栄養摂取に心を配るようにしましょう。痛みで食欲が落ちてしまうようなときには、免疫力を増強させ食欲を出すためのサプリメントや、少量しか食べられなくなっても多くのエネルギーを摂取できるような動物病院専用の処方食を動物病院で処方してもらってもいいでしょう。

獣医師からのメッセージ

乳腺腫瘍は通常かなり大きくなるまで痛いとか苦しいといった症状を表しません。乳腺腫瘍は高齢になってから発症することが多く、飼い主さんの中には「こんな高齢の子に麻酔をかけて体にメスを入れるのはかわいそう」と思われる方もいるようです。しかし、いつまでも様子を見ていると外科的に切除できないほど大きくなってしまい、しこりは中から破裂し自壊した表面からは血膿が出てしまいます。こうなるとペットにも痛みが出て看病する人にとっても非常に辛い状態になってしまいます。
乳腺腫瘍は小さな腫瘍であればペットに大きな負担をかけることなく取り除くことが可能です。日頃からペットとスキンシップを行い、しこりを見つけたらすぐ獣医師へ相談しましょう。


ゼノくん、アックちゃんからの一言

乳腺腫瘍は早期発見早期治療ができれば僕のおばあちゃんみたいに完治することもできるんだ。おばあちゃんはうれしくなるとすぐにおなかをみせちゃうから、しょっちゅうおなかをなでてもらっていて、すぐに気がつくことができたんだって。僕たちも飼い主さんにいっぱいなでてもらおうっと。

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