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動物の病気:動物の痛みの話

炎症とその治療

病気になったとき、よく「炎症」という言葉を聞きますが、炎症とは実際に体がどのようになっている状態なのでしょうか?また、炎症をおこしている時には、どのような治療をすればよいのでしょうか。

ゼノくん、アックちゃんの素朴な疑問

ゼノくん、アックちゃん

足が痛い関節炎も、体が痒い皮膚炎も、おなかを壊す腸炎も、どうやら「炎症」という現象が体におこっているせいらしいよ。炎症って何なんだろう?炎症を抑える薬ってあるのかな?  獣医師の先生に聞いてみよう。


私が答えます!Dr.ペテラス ペテラス・ワールドの獣医師。ホームドクターとしてあらゆる疑問を即解決!

炎症とは体に与えられた刺激から身を守るための反応です

例えば、細菌やウイルスなどの病原体が体の中に入り込むと、熱が出たりのどが腫れたりします。またノミに刺されると、皮膚が腫れて真っ赤になり、強いかゆみを感じます。足をひねって捻挫をすると、傷ついた関節の周りに水が溜まって動かせなくなるほど腫れてしまいます。花粉症の人は鼻や眼から体に入ろうとした花粉を排除しようと、鼻や眼の粘膜が腫れて鼻水や涙が大量にでてきます。これらの症状はすべて炎症が原因となっています。
炎症というと、なにやら痛くてつらい病気のようですが、実は体の外から攻撃してきたものに対して自分で何とかしようとした結果生じたことなのです。
炎症をおこした場所には通常痛みもしくは痒みがでますが、それは「ここの場所が何かおかしいぞ!なんとかしてくれ!」という体からの合図なのです。


炎症がおきているとき、体の中では「炎症細胞」が働きます

炎症は体の異常部分を察知し、自分で治そうとする反応ですが、次のような仕組みになっています。
病原体が体の中に入り込んで細胞が攻撃されたり、何か外的な力が加わって体の一部が傷ついたりすると、壊れた細胞から「助けてくれ!ここは異常事態になっているぞ!」という信号が発せられます。そして、その信号を受けて、普段は血管内にいる「炎症細胞」と言われる病原体を破壊したり異物を食べてしまおうとする細胞たちが、血管の壁をすり抜けて現場に向かっていきます。
炎症細胞や、細胞を治すために必要な栄養を供給するために、血管はその浸透性が高まり、血管自体も新しく作られるようになります。こうして現場にはたくさんの細胞や水分が集まって赤く腫れたようになってきます。
炎症細胞は集まると同時に痛みを感じさせる物質、全身を発熱させる物質を放出します。痛みやだるさから体を動かしたくないと思わせることで安静に導き、じっとしていることによって病原体が全身に広まるのを防いだり、傷の治りを早めようとしているのです。


炎症には次のようなものがあります

炎症をおこした部分には主に次の4つの症状があると言われています。
熱感:部分的に血管が拡張して、血液が集中するために触ると熱く感じます。
発赤:血管が拡張し、血流が増加するために表面が血液の色で赤く充血しているように見えます。
疼痛:炎症細胞から知覚神経を刺激する物質が出るため、痛みもしくは痒みが生じます。
腫脹(しゅちょう):簡単に言うと、炎症をおこしている部分が腫れてしまうことです。炎症をおこすと血管内の成分が外へ漏れ出てくるため、周囲の組織が水を吸ったスポンジのようにぱんぱんに腫れてきます。

炎症細胞は体温調節をコントロールする中枢に直接働きかける物質も発するため、全身症状としては、発熱、食欲減退、倦怠感などがみられます。
さらに炎症が続くと、炎症細胞の死骸である膿が溜まってきたり、炎症細胞に代わって結合組織が作られて組織自体が固くなるために、関節がうまく動かなくなるなどといった機能障害が生じてくることもあります。


関節炎などの炎症は速やかに取り除く必要があります

炎症は体が自分で治そうとする反応ですが、同時に痛みや発熱を伴うため非常に不快です。では、炎症がおきたらどうしたらよいのでしょうか?
たとえば、細菌感染の結果として肺炎をおこしている場合には、原因となる病原体の対策をせずにただ炎症を取る薬だけ使用しても、体を治そうとする反応を妨げるだけです。時には感染症自体を逆に悪化させてしまうことがあります。ですから、消炎剤を使うよりも前に、まず細菌感染を抑えること(抗生物質などを使って原因を除去すること)が大切です。
しかし、変形性関節炎のような運動器官の炎症の場合は、原因をすぐに治すことができません。かといって痛みがあるからとずっと動かさないでいると、かえって関節周囲の血行が低下して、痛み物質が蓄積し悪循環となってしまいます。関節炎をおこしている傷ついた軟骨を治すためには、炎症を悪化させない程度に関節を動かすことが必要なのです。また、常に痛みがある状態のペットは元気・食欲がなくなり、栄養面からも治癒に時間がかかってしまいます。このような場合には速やかに消炎剤を使って痛みをとってあげる必要があるのです。


ペットに適した消炎剤とは

もしペットが関節炎の痛みを訴えていたら、少しでも早く動物病院で診察を受けてその痛みを取り除いてあげる必要があります。変形した関節はすぐによくなるわけではありません。関節に負担をかけないように体重を落とし、少しずつリハビリで動かしていくことが必要で、それには時間がかかります。また、ペットの場合は全身を毛で覆われていて、体に付いたものを舐めてしまうため、湿布薬のような外用薬を使うことは難しいです。ペットに使う消炎剤は長期間飲ませても副作用の少ない、ペットを対象に開発された安全性の高い薬を選ぶことが大切です。


獣医師からのメッセージ

頭痛薬や解熱薬も消炎剤の一種ですから、人の薬ではたくさんの種類の消炎剤を気軽に手に入れることができます。しかし、人の消炎剤の中にはペットには毒になるものも多く、ペットに適した消炎剤というものはありません。ペットが痛みを訴えている時には、どのような薬を使えばいいのか、薬以外でしてあげられることは何か、獣医師の先生とどうすることが一番よいのかを話し合いましょう。

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