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動物の病気:動物の痛みの話

股関節形成不全症

大型犬のワンちゃんでお尻を左右に大きくフリフリしながら歩く子がいます。一見かわいいしぐさですが、実は股関節形成不全症(こかんせつけいせいふぜんしょう)という関節の病気が原因かもしれません。痛みをこらえて歩こうとするために、そのようなしぐさをしている可能性もあるのです。

ゼノくん、アックちゃんの素朴な疑問

ゼノくん、アックちゃん

僕たち大型犬は子犬から大人に成長する間に、関節の一部が変形してしまう子が多いんだって。変形がひどくなれば歩くたびに痛いらしいよ。そしたら大好きなお散歩にも行けなくなっちゃうのかな?それは困っちゃうな。関節が痛くなる病気、股関節形成不全症について獣医師の先生に聞いてみよう。


Dr.ペテラス ペテラス・ワールドの獣医師。ホームドクターとしてあらゆる疑問を即解決!

【股関節とは?】

股関節とは左右の後ろ足の付け根にある関節のことで、骨盤と大腿骨をつないでいます。正常な股関節は骨盤につるりとした"おわん状"のくぼみがあって、同じくつるりとした"半球状"の大腿骨の端がすっぽりと収まっているような形をしています。半円球のため前後に大きく動かすことができるだけでなく、両足を開いたり閉じたりといった動作もある程度は可能です。

【股関節形成不全症とは】

関節がうまくはまっていないと、炎症がひどくなったり、脱臼してしまうことがありますワンちゃんの成長過程で、骨盤の"おわん"に大腿骨の"半球"がぴったりと入らなくなってしまう病気を股関節形成不全症といいます。ぴったりと入っていないため関節が不安定となり、"おわん"と"半球"をおおっている軟骨同士が動くたびにぶつかったりこすれてしまいます。股関節は立ち上がる、歩くといった運動をするたびに力がかかる場所ですから、繰り返し軟骨がぶつかることによって炎症をおこして(関節炎)、痛みが生じるようになります。そしてそれが続くと関節の形が変形しはじめ、"おわん"は底が浅くなり、縁にとがった部分ができ、"半球"もいびつな形になってしまいます。骨を滑らかに動かすという関節としての働きがなくなり脱臼してしまうこともあります。痛みはますます強くなり、しまいには歩くことも困難になってしまいます。

【股関節形成不全症の原因】

股関節形成不全症の大部分は遺伝が原因であるといわれています。生まれつき股関節の収まりが浅い骨格の大型犬が、成長期に急激に大きくなる骨の成長に筋肉が追いつかず、関節に大きな負担がかかってしまうためにおこるのです。また、成長期の運動のさせ方、生活環境、栄養状態なども原因のひとつとなります。成長期だからと必要以上の栄養を与えて肥満にしてしまったり、骨格がまだちゃんとできていないのに激しい運動をさせてしまうと、関節にさらに大きな負担をかけてしまうのです。

【症状】

9割以上の子は両方の後ろ足に症状があらわれます。成長期におこりやすい病気なので、生後4ヶ月から1年の間に症状が出ることが多いようですが、中には2歳以降になってからはじめて症状を示す場合もあります。
軽症の場合は目立った症状がないこともあります。しかし注意深く見ていると、立ち座り、お散歩時、段差の上り下りの時などに動作を途中で止めるなど、痛みを訴えるしぐさをみせることがあります。通常の「お座り」の姿勢を嫌がって、横座りをするようになることもあります。
痛みが強くなってくると、こわばったような歩き方になったり、頭を下げて歩く、ジャンプを嫌がる、散歩を嫌がるなどの変化が見られるようになってきます。動かなくなることで筋肉は衰え、お尻から後ろ足にかけて細く痩せてきます。

【特徴的な症状:モンローウォーク】

股関節形成不全症の特徴的な症状として、腰を左右に振って歩くというのがあります。映画女優のマリリンモンローが腰を大きく振って歩いていたのに似ていることから「モンローウォーク」と呼ばれています。後ろ足をまっすぐ前後に大きく振り出すことができないため、進行方向に対して常に下半身を左右に曲げながら、股関節の動きを最小限にする歩き方です。

【病院での診断】

病院ではまず、股関節周囲をよく触ってみて痛みがあるかどうか、どの程度の痛みなのかを調べます。そしてレントゲン撮影を行い、実際に股関節が変形しているのかどうかを画像で確認していきます。さらに必要であればCTやMRIなどの高度画像診断法を用いて、三次元的にどこがどのように変形しているのかを細かく調べていきます。

【治療に大切なこと】

股関節形成不全症と診断されたら、痛みがある場合はまずは鎮痛剤を用いて痛みを取り除きます。内科的治療か外科的治療かの方針を決め、同時に関節炎がこれ以上進行しないような対処もしていきます。具体的には食事管理で体重制限を行ったり、すり減ってしまった軟骨をサポートするためのサプリメントを用います。また、関節に負担をかけないように、床に滑り止めを敷く、段差を歩かせない、無理矢理走らせないなどの生活の工夫も大切な治療のひとつです。
手術を行った後も、体重の管理やサプリメントの給与は続けてゆきます。

獣医師からのメッセージ

股関節形成不全症は生まれつきの病気ですが、対処の仕方次第で症状を悪化させることも最小限にすることも可能です。できるだけ痛みのない生活をさせられるかどうかは、早期発見とその後の飼育管理にかかっているといってもいいでしょう。

ゼノくん、アックちゃんからの一言

どんな病気の時でもちょっとした変化に気がついてもらう、病気が進行しないようにするということが大切なんだね。僕も太らないように気をつけて、今から関節のサプリメントもらっておこうかな。

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